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医療機関のISO認証取得について

・ 医療機関のISO認証取得について

 

医療機関とISOのシステム。あまり馴染みがない、という感想を持たれる方がほとんだと思います。

 

しかし、昔から(数は少ないが)年に2 ~3件は、医療関連の施設等からISOに関する問合せを頂くことがありました。いずれも、院長や施設長などのトップが経営に興味を持ち、改善活動に積極的な場合が多かったように思います。

 

病院の場合は病院機能評価という別の評価システムで審査される機会もありますが、病院機能評価にはいくつか問題点もあります。例えば・・・。

 

・ 5年に1度しか審査が来ないため、間の4年は客観的評価がなされず、機能しない。

・ ある時点での設備等ハード面の評価が多く、各病院でオリジナルのルールを作り辛い。

・ 病院だけに限定されており、クリニックやその他の医療施設は受審できない。

・ サーベイヤーが医療関係者であり、医療機関が医療機関を審査している感が拭えない。

 

などです。

 

ISO(ここで言うISOは、9001:品質マネジメントシステム)では、上記の課題はクリアできます。

 

そもそも医療は、特別な業種です。特殊性の理由は主に二つあります。一つは、顧客(患者側)が、自分の要求を正確に伝えられない、その上に与えられた医療行為の良し悪しも判定できない、ということです。つまり、通常の買い物であれば、モノの価値を把握し、自分の支払った対価が適当であったかどうかを顧客自身が判断できるので、高い買い物をしたとか、得をしたとか、顧客が自分で判断できますし、こんな商品が欲しいということを相手に伝えることもできます。ところが、医療ではこれが不可能なのです。顧客(患者)が、『この薬を処方して下さい 』『 あの手術を提供して下さい 』、などとリクエストすることは出来なませんし、費用を払った後も、その対価が高かったのか安かったのか、他の病院に行けばもっと丁寧な医療が安く受けられたのか、などの判断が出来ません。

 

もう一つの特殊性は、医療行為はやり直しが利かない可能性が高い、ということです。通常の買い物は、まれに不良品や不良サービスに巡り合ったとしても交換ややり直しが出来ます。しかし医療行為は、手直しが困難です。死亡は当然のこと、命を取り留めても重大な障害や修復できない傷を負う可能性があり、やり直しはほぼ不可能だと言えます。

 

これら二つの特殊性により、患者側は常に医療機関を『 できるだけ選びたい』訳で、それ故(あまり正確でない)病院のランキング本などが馬鹿売れすることになります。

 

前述したように、患者側には医療行為自体の良し悪しを判断する力量や情報はありません。麻酔で眠っている患者が、手術のテクニックや速度を評価できるはずもありません。にも関わらず、病院やそのスタッフの評判は噂されるし、ランキング本は売れます。ということは、患者(あるいはその関係者)が、やはり何かで判断・評価している、ということになります。

 

病院の施設、清潔さ、明るさ、接遇やマナー、待ち時間の長短、何で評価されているかは分かりません。朝の挨拶一つで、その病院の印象が決まっている可能性さえあります。

 

医療機関も選ばれる時代となり、選ばれるだけの理由が必要な時代に突入したと言えます。病院や歯医者でも倒産する世の中です。医療はサービス業であるという意識を持たない限り、生き残りが難しくなりつつあるのです。未だどこかに存在する『医療だけは聖域だ 』という“甘え”や“逃げ”が許されなくなりつつあるように思います。

 

これまでの医療関係者(主に医者)は、患者に最悪のケースを伝え、それよりも少しでも良い結果を導き出せば感謝される、これが普通のパターンであったと思われます。しかし。本当に顧客満足を達成するのであれば、予測できる最善の結果を伝え、その最善のサービスを提供(結果を達成)してこそ評価されるべきでしょう。

 

近年の医療業務はどんどん専門化し、複雑化していきます。おそらく一人の医者がオールマイティな活躍をする確率は低く、細かい業務分類がなされそれぞれに対応するスペシャリストが形成されるようになっていきます。であればなおさら個人の力量に依存するようなシステムでは、ミスやエラーが増えるは当然で、組織として(あるいはチームとして)標準化されたルールや管理できる仕組みの構築が必須になってくるでしょう。ISO 9001が、(今のところ数は少ないが)長く医療業界から興味を持たれている理由はそこにあるのだと思います。

 

本当の意味で患者様の立場に立った医療行為を提供するには、世界的に最もポピュラーで確実に業務の質を保証してくれるISO 9001こそが、医療機関の経営ツールのベースになり得ると考えます。施しの医療から脱却して、患者満足度の高い医療サービスに転換するためにもISOのシステムは有効に機能すると思います。

 

これからの時代は、業務に携わる人間の行動や力量にばらつきがある組織は淘汰されていくでしょう。一定の水準に達した医療サービスが受けられない医療機関に患者は来ません。ベースとなる仕組みが定まっている組織であれば、職員の入れ替わりや、法的要求事項の変化、地域社会からの要望の変化、などにより早く適切に対応でき、レベルの高いサービスを安定供給できます。その結果として、医療機関自体の永続性を高めることが可能となるのです。

 

やり直しのきかない医療分野だからこそ、ISO 9001のシステムが、組織が永遠に進化し続けるための試金石になると確信しています。

 

以上 





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