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環境ISOなんてやってる場合じゃない?

・ 環境ISOなんてやってる場合じゃない?

 

二つの出来事を紹介します。

 

① ある建設業の現場で夜間作業が続いていました。現場代理人のAさんは環境ISOに熱心な職員で、特にエネルギー使用量の削減に力を入れていました。電力削減の為に照明をできるだけ暗くして作業をしていましたが、その暗さが原因で転落事故が発生し職人が大ケガをしてしまいました。

 

② 東北の大震災の際に、ある被災者が近隣の街の病院に行って『自分の母親の運び込まれていないか?』と尋ねました。病院のスタッフBさんは、『個人情報なので教えられない』と回答しました。結果的にその被災者は母親の最後を看取ることができませんでした。病院スタッフのBさんは、情報セキュリティに熱心に取り組むタイプの職員でした。

 

Aさんは環境マネジメントに、Bさんは情報マネジメントに、どちらも必死で取り組んでいました。それ自体は良いことです。しかし、(視野が狭くなっていて)優先順位を間違えてしまいました。作業員の安全確保とわずかな電力削減のどちらが大事か? 被災者が母親の最後に立ち会えることと個人情報を守ることのどちらが大事か? 瞬間的に判断ができなくなっていたのです。

 

日本人は真面目です。決められたことは守ろうとします。それ自体は悪いことではありませんが、ただ単純に決められたことを守っているだけでは(時と場合によって)『木を見て森を見ず』『思考停止』の状態に陥る可能性もあると認識しておかねばなりません。何事においても、優先順位の判断は難しいのです。

 

コンサルティングの仕事をしていると、時々問われることがあります。『ISOに取り組む場合、どのマネジメントシステムから始めるべきですか?』と。

 

なるほど、世の中には沢山のマネジメントシステム(いわゆるISOの仕組み)が存在します。代表的なものは、ISO 9001:品質マネジメントシステム、ISO 14001:環境マネジメントシステムの二つですが、その他にも、労働安全マネジメントシステム(18001)、情報セキュリティマネジメントシステム(27001)、食品安全マネジメントシステム(22000)・・・、などなど切りがありません。

 

長年ISOのコンサルティングを実施してきた経験から、会社を経営するにおいて何を(あるいはどのシステムを)優先すべきかお答えいたします。それは間違いなく『利益と安全』です。会社が儲かること、そして職員が安全に仕事できること、この二つが経営の最優先課題(というより最低限の条件)です。これらがある程度達成出来ていない会社は、別の要素を考える余裕がないはずです。

 

ある程度利益確保が出来、ある程度安全も確保されているなら、次に品質向上や顧客満足を考えることになります。ここまでが全ての企業マネジメントのベースとなります。

 

もしも上記(つまり利益確保・労働安全・顧客満足)が大方達成できたと判断したら、更に上のステップとしてはじめて地球環境保護や個人情報保護などに取り組む、というのが常識的な流れだと思います。利益も上がらず、納期もギリギリ、必死で安全確保だけはしている、というような業務では、(残念ながら)地球環境のことまで考える余裕はないはずです。

 

あまりに(表面的な)ISOの要求事項に縛られ過ぎると、環境ISOに取り組んで逆に紙の使用が増えてしまった、品質ISOに取り組んで逆に残業が増えてしまった、などという笑えない結果に陥ってしまう可能性もあります。

 

環境ISOに取り組んでも無駄だ、と言っているのではありません。優先順位を間違ってはいけない、ということをお伝えしたいのです。

 

皆様の会社では、利益や納期が不確実な作業(現場)で、やたらと地球環境保護に時間を割いてはいないでしょうか? 製品やサービスの質が確保できていないにも関わらず、個人情報保護にばかり力を入れてしまってはいないでしょうか?

 

もちろん、世界的に見てもかなり成熟したと言える我が国・日本の立場としては、経営の基本的な要件(利益・安全・品質など)は既に満たした企業が増えている訳ですから、プラスアルファの取り組みが求められるのは当然です。地球環境保護や個人情報保護に取り組むことも重要課題であることに間違いありません。しかし、中小企業などの場合、経営の基本的要素を常に心に刻んでおかないと、環境対策や情報保護が逆にマイナスに働いてしまうこともあるのです。

 

世の中には様々なマネジメントシステムが存在しますが、取り組む優先順位は(企業ごとに)よく考えなければなりません。また、時と場合によって、何が重要なのか判断をしなければなりません。もしかすると、利益を切り捨てなければならない場合さえあるかも知れないと心構えしておくべきです。

 

優先順位を踏まえた上で、環境ISOに取り組みましょう。

 

以上 





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